エフェクター回路の蘊蓄(うんちく)

エレキギターは弾けないが、その音は好き

Electro Harmonix / Big Muff Pi その1

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Big Muff Pi Schematic

ElectroHarmonixのFuzzと言えばBig Muff Piだ。回路図はなんとURLまでマニアックな「http://www/bigmuffpage.com」から持ってきたサイトのやつを持ってきた。つまり孫引きだな。回路図を見てわかるように大雑把には4段階の増幅回路がある。初段からみてみよう。定数は手持ちのものが使えるように微調整してある。

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Big Muff Pi 初段

初段はいつものように巨大増幅のエミッタ接地回路だ。倍率はR13/R22=100倍だが、電源電圧が±4.5相当なので、だいたい40mV以上の振幅があるギター出力は全部クリップする。うちのバッファ付きZO-3ギターの出力は思いっきり叩きつけるように弾いてピークで1V、普通に弾くと100mVくらいだから、だいたいの音がクリップすることになる。

ちょっと変わっているのはC10のコンデンサだ。これによって1kHz以上の増幅率は抑制されている。下図の赤がコンデンサなし、緑がコンデンサありだ。

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初段のコンデンサC10の効果

この初段出力(「がっがっがっがっがっ」というより「ぼっぼっぼっぼっぼっ」って聞こえる信号出力はほぼ0.5~8.5Vくらい振れているのだが、R24のSUSTAINボリュームで次段に渡す音量を決めている。R23があるので絞り切っても音は途切れない。

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SUSTAIN

なぜ音量を決めているだけなのに、名前が「SUSTAIN」なのかというと、初段は10mVくらいの極めて小さい音も普通に1V位に増幅してくれるので、SUSTAINボリュームを上げておくと、次段も巨大増幅であることも相まって、いつまでもギターの音が途切れない、つまり減衰しにくくなるわけだ。

もう作ってあるので実際の初段がどうなっているのか、波形を下図に示す。

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初段測定結果

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初段解析結果

うん、当たり前だけどよく合っている。次回は次段以降のまたまた巨大増幅回路だ。