BOSS / CE-2 (Chorus) その1
上図はBOSSのCE-2という「コーラス」の回路図だ。モジュレーション系(フェイザーやフランジャー)に分類され、空間系(ディレイやリバーブ)とは別みたいに言う人が居るが、使われている素子はBBDというバケツリレーで音を遅延させるICであり、ディレイに近い。ただし、コーラスに使われるBBDは遅延時間が短い(数十ms)タイプのやつだ。
このBBDというのはかなりの曲者で、ノイズは多いし、周波数特性は悪いし、ダイナミックレンジは低いし、入力インピーダンスが低いし、電圧範囲が狭いし、ほんとに扱いが面倒だ。当時はこれかテープしかなかったので、仕方がないんだが、性能の低さを補うための付加回路のおかげで、独特な味付けがされるようになってしまい、ディジタルディレイでは得られないような音が「結果的に」得られている。まぁそれが顕著に現れるのはコーラスじゃなくて、ディレイなんだけど。
さて、回路を最初から見てみよう。BOSSは「トゥルーバイパス」なんて変なこだわりもなく、普通にバッファで受けるように回路を構成する。
極めて普通のエミッタフォロアだが、入力インピーダンスはほぼ470kΩになっている。
上図の左下にあるバイアス(中間電位)を決めるところが半固定抵抗(VR)になっている(なお、ここの他にもバイアス回路がある)。これはBBDの入力電圧範囲が狭いので、バイアスを調整したくなっちゃうからだ。
初段の周波数特性は以下の通り、極めて普通。若干0dBを下回る(-2dB)がまぁこんなもんだ。
入力インピーダンスは407kΩ(1kHz)である。公称(?)470kΩに近いと言えば近いが、オペアンプを使えばよいのでは?とも思う。問題はコストかな。
今日はここまで。