エフェクター回路の蘊蓄(うんちく)

エレキギターは弾けないが、その音は好き

BOSS / CE-2 (Chorus) その3

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BOSS / CE-2 Schematic

今回はBBD(IC3)への入力前後に配置されている特殊なエミッタフォロア(上図の青い四角部分)を見てみよう。たぶんフィルタ回路だな。前も後ろもだいたい同じ回路定数なので同じ効果が得られているはずだ。

モデル化した結果が以下の回路であり、「in」が入力、途中に「1」「2」「3」「4」とラベルを貼り、出力が「out」だ。

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Pre-BBD Filter

outでの周波数特性は以下の通り。10kHz以上を大幅に(急峻に)カットしている。

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Pre-BBDフィルタ回路の周波数特性

20kHzで-28.625dB、40kHzで-47.41dBだから-18dB/Octぐらいの3次LPFと言っていい。ラベル「1」では20Hz以下の直流をカットする普通のHPFだ。

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V(1)周波数特性

V(1)基準でV(2)を見てみるとちょっと10kHzあたりに後段の影響がでているけど、ふつうのLPFだと思っていい。

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V(2)/V(1)周波数特性

次にV(2)基準でV(3)を見るとバッファ回路にLPFを組み合わせたようになっている。これはそもそもV(3)がV(out)基準(つまりフィードバック回路)になっているからだ。

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V(3)/V(2)周波数特性

V(3)基準のV(4)は普通のLPFになっていて、V(4)はV(out)とほとんど同じになる(エミッタフォロアなだけに)。

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V(4)/V(3)周波数特性

結局、前段のエンファシス回路で1kHz以上を増幅して、ここで10kHz以上をカットするという前処理回路になっている。事前にここまで配慮しなければいけないBBDが、いかに扱いにくい素子であるか、ということが良くわかる。

今日はここまで。図が多いな。