Electro Harmonix / Big Muff Pi その4
初段は巨大増幅エミッタ接地回路(Q4)、次段(Q3)とその次(Q2)は初段とほぼ同じ回路(巨大増幅エミッタ接地回路)にフィードバック部分にダイオードクリップ(クランプ)回路が付いている。この形式はBOSS/OD-1でも採用されている常道だ。
こうして3段に渡って巨大増幅しつつクランプしながら信号は変形してきた。むしろやりすぎ感があるくらいだ。
3段目のゲインV(out3)(上図、赤)はほぼ1000倍になる。入力は最大1V位なので、ゲインが4倍程度で電源電圧を超えるわけだから、ここまでの増幅率は不要なように思えるが、そういうことじゃないんだな、きっと。
こうまでして増幅してきて、次に何をするかというと、そのままの信号とコンデンサを挟んでフィルタを通した信号をブレンドするわけだ。フィルタ+ブレンド回路はシンプルであり、以下の様になっている。
赤い方がHPF(ハイパスフィルタ、ローカットの方が直感的か)、緑の方がLPF(ローパスフイルタ、ハイカット)である。これがトーンボリュームの両端に負荷されているので、開けるとギンギン(ローカット)絞るとボヨヨン(ハイカット)な音になる。
正弦波応答波形を見ると、トーンを絞ると三角波に近いそれなりの振幅の波形、トーンを開けるとギザギザだが振幅の小さい波形になる。
これだけ音量が変わってしまうと、最後に増幅しないと出力が足りなくなるので、最終段でまた増幅することになる。
次回は最終段の増幅部を見てみる。